多摩テック跡地問題 明治大学に約8億円支払い命令―東京地裁

明治大学スポーツパーク構想の中断

東京地裁判決

「多摩テック」(東京都日野市)の跡地にスポーツ施設の整備を構想していた明治大学が計画を中断したことで損害を被ったとして、跡地を購入した三菱商事が約62億円の損害賠償などを求めた訴訟。

東京地裁は20日、請求の一部を認容し、明大に約8億4000万円の支払いを命じた。

多摩テックは本田技研工業が開設した車やバイクのテーマパークで、2009年閉園した。
判決によると、明大は12年10月、整備計画に関して三菱商事との間で覚書を締結。三菱商事は13年4月までに跡地などを買収したが、明大は同10月に計画の断念を三菱商事に通知した。

 三菱商事は訴訟で、買い取った跡地を明大が1.4倍で買い受ける売買契約があったと覚書に基づいて主張したが、判決は「一連の交渉経緯や書面内容を検討しても、契約の成立は認められない」と判断。一方で、明大には断念した計画を継続する可能性を探るために「誠実に協議、交渉する義務があったが怠った」として三菱側の損害を認定した。

裏切られた日野市

スムーズに行った計画

明治大学の計画は、多摩テック跡地約20ヘクタールにグラウンド5面、体育館、プール、合宿所、クラブハウスなどを備えた「明治大学スポーツパーク」をつくり、「スポーツ科学部」を新設するというもの。

地区計画について地元住民への説明会を開催した後、11年末に市は明大の意思を最終確認する覚書を結んだ。年明けに地区計画の最終案説明会を開き、年度末に「七生丘陵西地区地区計画」として都市計画決定を行った。

一方、共同事業者である三菱商事は、まちづくり条例に基づく諸々の説明会を開き、条例に規定する開発事業の手続きの完了後、市と開発事業に関する協定を締結した(12年4月)。

これを受けて東京都と、都条例に基づく開発事業の手続きを開始。環境アセスメント審査を経て13年5月に許可が下りた。この間に、三菱商事は明大との契約に基づき、事業に必要な全ての開発用地の取得に成功した。

突然の計画中止

ところが、明大は都への開発許可申請を出さず、9月25日になって突然、大坪冬彦市長に計画中止の意向を伝えた。

市長が「納得できない」と突っぱねると、同27日に、明大は最高意思決定機関である評議員会を開き、計画中止を一方的に決めた。

市長は抗議文を出し、事業継承を強く求めた。しかし、11月6日、明大の日高憲三理事長が市長を訪ね、改めて事業中止を申し入れた。

その理由として「大震災後の工事費の著しい高騰」などをあげたが、市長は「合理的な根拠を示さず、一方的な中止は容認できない」と突っぱね、物別れに終わった。

他方、同席した共同事業者の三菱商事は事業を継続したいと主張していた。

学校施設以外の建設ができない

多摩テック跡地は市街化調整区域内にあり、学校施設以外の建築はできない規制がかかっている。日野市としては、産業誘致もできない状況だ。新たな学校施設を誘致できなければ、廃墟状態が続く。

日野都市計画地区計画の決定(日野市決定の引用)

日野市程久保五丁目及び平山一丁目各地内
約 23.0ha

本地区は、日野市南部の市街化調整区域内に存し、多摩丘陵北部近郊緑地保全区域及び都立多摩丘陵自然公園の区域が指定されており、多摩丘陵の良好な自然資源が保全されているとともに、周辺に立地する都立多摩動物公園・七生丘陵散策路などによりレクリエーション機能を有している地区である。
日野都市計画区域マスタープランにおいては、「市街化調整区域の土地利用の方針」において、自然環境を活かしたレクリエーション資源の整備を図ることとされ、あわせて自然環境の連携・調和に配慮するとしている。
日野市まちづくりマスタープランにおいては、「まちづくり基本計画」により、「骨格的な緑地構造の保全と継承」として、多摩丘陵一帯を「緑の拠点」として保全することとしており、当地区については「土地利用構想」において、自然的土地利用として「公園・緑地」と位置づけられている。また、「地域別まちづくり詳細計画」においても、豊かな自然や観光資源を活用したまちづくりを進めることとされている。
この良好な環境を維持・増進するため、既存緑地の保全や既存樹林と一体性のあるまとまった緑の創出を行い、周辺の公園や散策路などとの連携により、都市に残された貴重な自然資源としての緑地などを保全・活用を図りつつ、地区内の既に開発が行われている土地については、これまでの利用形態をふまえ、幅広い年齢層の市民が利用でき、市民生活を豊かにし地域の活性化に寄与する土地利用を適切に誘導する。



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